# RECORD 9bbf39dfd7043e0e1a2872c7abad6d0f7f5d33bf # TITLE: Impact of Disaster Risks on Rental Housing Market in Kanto Major Metropolitan Area # YEAR: 2019.0 VENUE: Journal of the City Planning Institute of Japan DOI: 10.11361/journalcpij.54.1153 # AUTHORS: Haruki Kubota; U. Hiroi # PAGES: 8 CANDIDATE TABLE PAGES (1-based): [] # ABSTRACT: *学生会員 東京大学大学院工学系研究科(University of Tokyo) **正会員 東京大学大学院工学系研究科(University of Tokyo) 1. 研究の背景・目的 危険な地域に市民を住まわせないよう適切な規制誘導施 策を立案することは、都市計画に期待される重要な役割の 一つである。この際、人々が災害リスクをどのように評価 するか知らなければ、効果的な取り組みを行うことは困難 である。 近年、災害リスクが不動産市場に与える影響についてヘ ドニック・アプローチを用いて分析した研究成果の蓄積が 進んでいる。中川ら 1)は東京都の賃貸住宅を対象にした分 析で、地震災害危険度が賃料を有意に下落させ、その効果 は旧築年の物件でより高くなる可能性を示した。また、直 井ら 2)は慶應義塾家計パネル調査(KHPS)の結果を用いて日 本全国における借家・持ち家住宅価格と地震リスクの関係 を分析し、地震発生確率が家賃を有意に下落させるという 結果を得た。これに対し佐藤ら 3)は、全国の不動産を対象 に地震リスク・床上浸水リスク・土砂災害リスクが不動産 価格に与える影響を分析し、市区町村レベルで災害リスク を集計した分析からは地震リスクが高いほど価格が高くな る関係を示し、公示地価の住所データを用いた分析からは 災害リスク評価が地価を下落させる効果を持つまでに高い 閾値が存在する可能性を示した。 他方で、既往研究には災害リスクの回避行動が世帯の社 会属性によって異なる可能性がうかがえる報告もいくつか 存在する。石野・瀬古 4)は東日本大震災後に家計における 自然災害への備えの意識がどのように推移したかを分析し、 世帯年収が低い家計ほど災害に対する備えの意識が低下し やすいことを示した。また、大石 5)は大阪市淀川区の単身 世帯用と家族世帯用の賃貸マンション物件それぞれヘドニ ック分析を行ない、単身世帯用物件と家族世帯用物件のヘ ドニック関数の間に顕著な違いがあることを示した。 石野・瀬古4)と大石 5)の成果から、災害リスクと不動産市 場の関係についても、年収や家族構成といった各住宅に居 住する世帯の社会属性による市場区分が存在する可能性が あると言える。しかしながら、既往研究の中に住宅の特性 とそこに住まう世帯の社会属性に注目して災害リスクと不 動産市場の関係について論じたものはなかった。 加えて、首都直下地震に関する報道や建物密度の高さな どから、東京都の賃貸住宅への移転を検討する世帯は、他 の地域の賃貸住宅への移転を検討する世帯と比べて災害リ スク回避傾向が大きくなっている可能性がある。このよう に、人々の災害リスク回避傾向を調べる際は、地域特性に よる差異の存在を念頭に置きながら分析を行うのが望まし いが、災害リスクと不動産市場の関係について分析した既 往研究の中に、災害リスク評価の地域差について分析して いるものはなかった。 以上を踏まえ、本研究の目的を次の二点に定める。一つ 目は、世帯の社会属性による災害リスク回避傾向の違いを 把握することである。分析では、賃貸住宅を賃料や専有面 積といった特性によって分類し、災害リスクが賃料に与え る影響の差異を、ヘドニック・アプローチで明らかにする。 得られた結果を踏まえ、住宅の特性とそこに住まう世帯の 社会属性の関係性から、世帯の社会属性による災害リスク 評価の違いについて考察を行う。 二つ目は、災害リスクが賃貸住宅市場に与える影響の地 域差を明らかにすることである。分析では、関東大都市圏 全体と東京都について、災害リスクが賃料に与える影響を それぞれヘドニック・アプローチで明らかにする。得られ た結果を用いて災害リスクが賃貸住宅市場に与える影響の 地域差について考察を行う。本研究で明らかになる知見は 現状基礎的なものにとどまっているが、災害リスクの低い 災害リスクが関東大都市圏の賃貸住宅市場に与える影響 賃料・専有面積による市場区分と地域間の差異に注目して Impact of Disaster Risks on Rental Housing Market in Kanto Major Metropolitan Area Focusing on Market Segment Separated by Rent and Size as well as Regional Difference - ===== PAGE 1 (score 8, numeric-paren 0, table-words 0, var-words 8) ===== 公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文集 Vol.54 No.3 2019年 10月 Journal of the City Planning Institute of Japan, Vol.54 No.3, October, 2019 *学生会員 東京大学大学院工学系研究科(University of Tokyo) **正会員 東京大学大学院工学系研究科(University of Tokyo) 1. 研究の背景・目的 危険な地域に市民を住まわせないよう適切な規制誘導施 策を立案することは、都市計画に期待される重要な役割の 一つである。この際、人々が災害リスクをどのように評価 するか知らなければ、効果的な取り組みを行うことは困難 である。 近年、災害リスクが不動産市場に与える影響についてヘ ドニック・アプローチを用いて分析した研究成果の蓄積が 進んでいる。中川ら1)は東京都の賃貸住宅を対象にした分 析で、地震災害危険度が賃料を有意に下落させ、その効果 は旧築年の物件でより高くなる可能性を示した。また、直 井ら2)は慶應義塾家計パネル調査(KHPS)の結果を用いて日 本全国における借家・持ち家住宅価格と地震リスクの関係 を分析し、地震発生確率が家賃を有意に下落させるという 結果を得た。これに対し佐藤ら3)は、全国の不動産を対象 に地震リスク・床上浸水リスク・土砂災害リスクが不動産 価格に与える影響を分析し、市区町村レベルで災害リスク を集計した分析からは地震リスクが高いほど価格が高くな る関係を示し、公示地価の住所データを用いた分析からは 災害リスク評価が地価を下落させる効果を持つまでに高い 閾値が存在する可能性を示した。 他方で、既往研究には災害リスクの回避行動が世帯の社 会属性によって異なる可能性がうかがえる報告もいくつか 存在する。石野・瀬古4)は東日本大震災後に家計における 自然災害への備えの意識がどのように推移したかを分析し、 世帯年収が低い家計ほど災害に対する備えの意識が低下し やすいことを示した。また、大石5)は大阪市淀川区の単身 世帯用と家族世帯用の賃貸マンション物件それぞれヘドニ ック分析を行ない、単身世帯用物件と家族世帯用物件のヘ ドニック関数の間に顕著な違いがあることを示した。 石野・瀬古4)と大石5)の成果から、災害リスクと不動産市 場の関係についても、年収や家族構成といった各住宅に居 住する世帯の社会属性による市場区分が存在する可能性が あると言える。しかしながら、既往研究の中に住宅の特性 とそこに住まう世帯の社会属性に注目して災害リスクと不 動産市場の関係について論じたものはなかった。 加えて、首都直下地震に関する報道や建物密度の高さな どから、東京都の賃貸住宅への移転を検討する世帯は、他 の地域の賃貸住宅への移転を検討する世帯と比べて災害リ スク回避傾向が大きくなっている可能性がある。このよう に、人々の災害リスク回避傾向を調べる際は、地域特性に よる差異の存在を念頭に置きながら分析を行うのが望まし いが、災害リスクと不動産市場の関係について分析した既 往研究の中に、災害リスク評価の地域差について分析して いるものはなかった。 以上を踏まえ、本研究の目的を次の二点に定める。一つ 目は、世帯の社会属性による災害リスク回避傾向の違いを 把握することである。分析では、賃貸住宅を賃料や専有面 積といった特性によって分類し、災害リスクが賃料に与え る影響の差異を、ヘドニック・アプローチで明らかにする。 得られた結果を踏まえ、住宅の特性とそこに住まう世帯の 社会属性の関係性から、世帯の社会属性による災害リスク 評価の違いについて考察を行う。 二つ目は、災害リスクが賃貸住宅市場に与える影響の地 域差を明らかにすることである。分析では、関東大都市圏 全体と東京都について、災害リスクが賃料に与える影響を それぞれヘドニック・アプローチで明らかにする。得られ た結果を用いて災害リスクが賃貸住宅市場に与える影響の 地域差について考察を行う。本研究で明らかになる知見は 現状基礎的なものにとどまっているが、災害リスクの低い 災害リスクが関東大都市圏の賃貸住宅市場に与える影響 - 賃料・専有面積による市場区分と地域間の差異に注目して - Impact of Disaster Risks on Rental Housing Market in Kanto Major Metropolitan Area - Focusing on Market Segment Separated by Rent and Size as well as Regional Difference - 久保田映希*・廣井悠** Haruki Kubota*, U Hiroi** This study tried to understand the difference in disaster risks aversion between households of different income level, family type, and place of residence. Hedonic Analysis was conducted to see the difference in the effect of disaster risks on rent depending on housings’ size, rent level, and address. The result showed that the effect of disaster risks on rental housing market is different between types and region of housings. In Tokyo, the rent of rental housings is lowered more significantly by earthquake risks, flood risks, sediment disaster risks than all Kanto Major Metropolitan Area. In addition, the rent of cheap-rent housings is less sensitive to earthquake and flood risks and more sensitive to distance from Tokyo Station. These results suggest that households’ attribute and living place can explain the difference in risk aversion to disasters between people. Keywords: Disaster Risk, Rental Housing Market, Hedonic Approach, Households’ Attribute, Regional Difference 災害リスク, 賃貸住宅市場, ヘドニック・アプローチ, 世帯の属性, 地域差 - 1153 -